血ガス解釈練習 代謝性アルカローシスと呼吸性アシドーシスの合併

アルコールLC患者、胸腹水貯留が高度。利尿剤使用後も酸素需要改善に乏しく、nasal O2 3LでSpO2 98%程度であり、動脈血ガス測定した。

①pH評価

pH>7.42→アルカレミア

今回のPtはPh7.428で、まあ…ややアルカレミア気味と。

②呼吸性、代謝性の評価

アルカレミア

HCO3->26mEq/L→代謝性アルカローシス

PaCO2>38mmHg→呼吸性アルカローシス

今回の症例はHCo3-:32.3mmol/l, PaCO2 50.2mmHgなので、代謝性アルカローシスを呼吸性に代償しているのか、呼吸性アシドーシスを代謝性に代償しているのか…。

③代償の評価

メインの病態が代謝性アルカローシスの場合、HCO3-が1上昇するごとにPaCO2は0.7上昇する。24を基準値と考えてみると、8上昇しているので、8×0.7=5.6、CO2が上昇するのは代償の範囲内。PaCO2の基準値をだいたい35~45mmHgとすると、43~53mmHgの範囲だと、代償性と。まあ、じゃ、代償しているのかな?

メインが呼吸性アシドーシス(急性)の場合、PaCO2が1上昇するごとにHCO3-は0.1上昇。

慢性の場合、PaCO2が1上昇するごとにHCO3-は0.4上昇。

今回、急性の呼吸性アシドーシスと仮定すると、PaCO2はまあ、基準値より5上昇しているとするとHCO3-は0.5上昇。24.5。超えてますね。基準値より10上昇しているとすると、1上昇。34。まあ、そうすると代償の範囲内といえなくもない。

総合的には、おそらく代謝性アルカローシスと呼吸性アシドーシスの合併と思われる。

④代謝性アルカローシスとした場合、

原因として以下。

・消化管からのH+の排出:嘔吐、胃管からの吸引→なし

・腎からのH+の排出:原発性アルドステロン症、クッシング症候群、偽性アルドステロン症(利尿剤)、バーター症候群、低Mg血症、高Ca血症など。

→利尿剤かな…。Mgは測ろう。

・H+の細胞内移行:低K血症→今回の症例は、それほど低Kではない。

・循環血漿量の減少…血管内脱水ではある。

呼吸性アシドーシスの原因として以下。

・呼吸中枢機能低下…鎮静薬の影響はあるかも。甲状腺値は測るか。

・神経筋疾患…なさそう。

・胸郭・横隔膜の損傷…高度の腹水、あります。

・慢性呼吸不全:肺結核後遺症、COPD、間質性肺炎など…たぶんないと思うが…。

・死腔量増加…気管支喘息、COPD急性増悪など

AG=Na-(Cl+HCO3)=136.4-(103.0+32.1)=1.3

めっちゃ低下している。これは、通常測定できない陰イオンが減少している時か、通常測定できない陽イオンが増加するときに見られる。前者の代表は低アルブミン血症。これだな。ほかには、IgG型多発性骨髄腫での陽イオンで荷電したモノクローナルIgGが存在する場合など。後者の代表は、高K、高Ca、高Mgなど。

低アルブミン血症があるときの補正AG=AG+(4.0-Alb)×2.5=1.2+(4.0-2.4)×2.5=5.2

それにしても低い。

⑤呼吸性アシドーシスとした場合、

マスク5L=吸入酸素濃度40%くらいとすると、めっちゃ開大。

換気血流不均等と拡散障害かな…。

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