- 神経内分泌腫瘍の分類と概要
NET…高分化型
NEC…低分化型 機能性NET…
インスリノーマ
ガストリノーマ
グルカゴノーマ
症状:遊走性壊死性紅斑、耐糖能障害や糖尿病、低アミノ酸血症、低アルブミン血症、体重減少、貧血、静脈血栓症や精神神経症状(失調症状、認知症、視神経萎縮、近位筋筋力低下)
検査:血漿グルカゴン測定と血中アミノ酸濃度測定
VIP産生腫瘍
症状:大量の水様性下痢、低カリウム血症、低クロール血症、代謝性アシドーシス、疲労感、筋力低下、息切れ、筋肉のけいれん、こむら返り、嘔気嘔吐、皮膚紅潮、高血糖、高カルシウム血症
検査:血漿VIP測定(国内測定不可)、便のosmotic gapの測定
ソマトスタチノーマ
症状:体重減少、腹痛、糖尿病、胆石症、脂肪便、下痢、貧血など(無症状も多い)
検査:血漿ソマトスタチン測定(国内測定不可)
機能性消化管NET
症状:下痢、皮膚紅潮、喘息、心不全(とくに右心系)、ペラグラ症状(rough scaly skin, 舌炎, 口角炎など)
検査:尿中5-HIAA(24時間畜尿)、血中クロモグラニンA測定(保険未収載) - NETに対する保険適応薬
機能性膵NETでのホルモン過剰分泌に対する症状緩和…サンドスタチン、ランレオチド(商品名:ソマチュリン)
抗腫瘍効果…ランレオチド
分子標的治療薬…エベロリムス(商品名アフィニトール)、スニチニブ(商品名スーテント)
細胞障害性抗がん剤…ストレプトゾシン(商品名:ザノサー)
ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)…ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)←ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍に対して2021年6月に承認。 - 概要
NEC…小細胞肺がんの治療に準じた、プラチナ製剤をベースとする併用療法
NET…Ki-67指数、肝転移量および増殖スピードによる。以下にIkedaらによる治療戦略を示す。
NET G1で肝転移量が少ない→ランレオチドor分子標的薬(エベロリムスorスニチニブ)
NET G2以上で肝転移量が大きい→分子標的薬or ストレプトゾシン - それぞれの薬剤
1)エベロリムス
1日1回10mg経口投与。
RADIANT-3という第三相試験で、プラセボと比較して、PFSを4.6か月から11.0か月に延長した。
有害事象:食思不振、全身倦怠感、皮疹、口内炎、頭痛、高脂血症、消化管障害、低リン血症、下痢、血小板減少、白血球減少
2) スニチニブ
1日1回37.5mgを連日経口投与。
Globalという第三相試験でPFS 11.4か月vs 5.5か月とプラセボに比べて延長した。
有害事象:好中球減少、血小板減少、高血圧、手足症候群など
3) ランレオチド
2017年7月に膵・消化管神経内分泌腫瘍に対して適応追加。4週ごとに1回皮下投与。