CV抜去時に、血管と皮膚との瘻孔から空気が血管内に入り、右心室の流出路が閉塞して右心不全に至ったり、卵円孔開存がある場合は左心系まで空気が入って脳空気塞栓症をきたす可能性が示唆されている(成人の約20%に卵円孔開存がある)。
特に透析用ブラッドアクセスなどの径の太いカテーテルを留置していた場合や、長期間留置していた場合に危険性が高い。
これを防ぐために推奨されていることが以下。
・臥位で抜去する
・抜去時は吸気で息止め
・抜去後すぐに穿刺部に密閉性の高いドレッシング材を貼る。その上からガーゼ圧迫(5分以上)する。
・密封性のあるフィルムドレッシング剤で24時間は覆っておく
なお、米国AHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality)のPatient Safety Networkによる、中心静脈カテーテル抜去時の空気塞栓を防止するための手順を以下に示す。要は中心静脈圧を上昇させること、血管内への空気の流入を防ぐことが重要である。
①実施する前に脱水状態の患者には補液を行う。
②患者をトレンデレンブルグ位にして、中心静脈カテーテル抜去部が心臓より低くなるようにする。
③カテーテルの全てのルーメンが蓋をされていること、クランプされていることを確認する。
④カテーテルを抜去する際はガーゼで押さえ、緩徐に一定の動きで行う。
⑤カテーテルを抜き終わる時に患者にバルサルバ手技をさせる。
⑥抜去部を1~5分間圧迫する。
⑦滅菌された密閉性のドレッシング材を少なくとも24時間貼付する。
⑧カテーテル抜去後、30分間仰臥位を保つよう患者に指示する。