セフェピム脳症

<抗菌薬関連脳症>
以下の3型に分類される。
①TypeI: けいれん発作・ミオクローヌス主体
 ベータラクタム薬(セファロスポリン系やペニシリン系の抗菌薬)に多い。抗菌薬開始後数日以内にけいれん発作・ミオクローヌス・異常脳波をきたす。MRIは正常。投与中止後数日以内に改善する。腎機能障害が背景にあることが多く、GABA受容体を介した抑制系のシナプス伝達障害による興奮性細胞毒性が原因と考えられている。(ベータラクタム薬は側鎖にGABA受容体阻害作用がある)
②TypeII: 精神病症状主体
 フルオロキノロン、マクロライド、ST合剤に多い。開始後数口以内に精神病症状がみられる。半数程度に脳波異常がみられるが、非特異的なことが多い。MRIは正常である。投与中止後数日以内に改善する。
③typeIII:小脳症状主体
 メトロニダゾールにより、開始後数週間以内に,小脳失調で発症する。積算用量が発症に関与するという報告もあるが、少量の投与でも起こり得る。脳波異常は非特異的だが、MRI異常が特徴的(小脳歯状核・脳幹背側部・脳梁膨大部の血管原性・細胞障害性浮腫)。フリーラジカル形成やビタミンBl代謝との関連が指摘されているが、正確な機序は未解明。症状改善後、8割以上の患者でMRIの所見も完全寛解する。

<セフェピム脳症>
 性差なし。腎機能低下者に起きやすい。腎機能に合わせた投与量の減量がなされないこともリスク要因となる。
 37論文の135名をまとめたPayne らのReview(Crit Care 21:276, 2017)によると、発症までの期間は中央値4日(2-6日)、予後は完全寛解が50%、軽快が39%と、9割ほどの患者が改善する。脳波異常は全例にみられ、三相波様の所見が多かった。治療は、セフェピムの中止。

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