FOLFIRINOX 患者さん説明

膵癌の1次化学療法のひとつです。

・概要

FOLFIRINOXというのは、いくつかの薬剤の頭文字を合わせたもので、5-FU、levofolinate(商品名ロイコボリン)、Irinotecan、Oxaliplatin。5-FU・イリノテカン・オキサリプラチンが抗がん剤で、レボホリナートは5-FUの増強剤です。

JCOG1407という日本の臨床試験で、局所進行膵癌に対するGnPとmFOLFIRINOXを比較しました。OS, 全生存率としては1年OSがmFOLFIRINOX群で77.4%, GnP群で82.5%、2年生存率は前者で48.2%、後者で39.7%、生存期間中央値は前者で2年、後者で1.8年と、有意差はない結果でした。また奏効率も前者30.9%, 後者41.4%と、統計学的には有意差がありませんでした。CA19-9という腫瘍マーカー値の減少ということに関しては、前者57.1%、後者85.4%と有意差をもってGnP群のほうがCA19-9奏効率は優れていました。

・投与スケジュール

2週間ごとに繰り返す治療で、1回あたり2日間かかるため、外来・在宅で治療を行うために、皮下に埋め込み型のポートを造設する必要があります。

副作用(感染症・下痢・しびれ、など)の頻度がそのままでは高いため、急速静注の5-FUを抜き、イリノテカンの容量を減量した、修正版modified FOLFIRINOXが行われることが多いです。

詳しいスケジュールとしては、はじめにオキサリプラチンを2時間で投与、引き続いてレボホリナートを2時間で投与、その間に(レボホリナート投与開始30分後から)イリノテカンも1時間半で投与します。その後、5-FUの持続静注を開始します。これが46時間かかるので、自宅にそのまま帰っていただいて、投与し続けることになります。インフューザーポンプというもので、少しずつ持続的に薬液が注入されるしくみとなっています。決められた時間になったら、できる方の場合は自分で針を抜いて、抜いた針は病院に次回持参します。自分で針を抜くのが難しい方の場合は、来院いただくこととなります。

・副作用

 多くの方にみられるものとして、点滴後から1~2日以内に、しびれなどの感覚障害がみられます(手、足、唇周辺)。2週間以内に回復することが多いですが、回数を重ねると回復までに時間がかかることがあります。また、のどのしめつけられる感じがみられることもあります。

 脱毛は投与開始から2~3週間で、みられることがあります。

 投与当日もしくは数日後から下痢がみられることもあります。当日の早発性の下痢は一過性のことが多いです。数日たってからの下痢に関しては、1週間以内に起こることが多く、1~2週間頃に症状のピークを迎えます。ひどい場合には止痢薬を用いますので、1日3回以上の下痢がみられた際には止痢薬を服用してください。下痢止めを2回服用しても良くならない場合には、病院にご連絡ください。

タイトルとURLをコピーしました