2022秋時点。自分用まとめ。
①胆嚢炎
軽症では手術が推奨。中等症、重症では患者や施設の状況により胆嚢ドレナージが選択されることがある。
②胆管閉塞
(1)切除不能胆管閉塞
切除不能遠位胆管閉塞には➡cSEMSを推奨。
切除不能肝門部閉塞➡片葉?両葉?PS?SEMS?Stent in stent?side by side?
Lee TH. Et al. GIE 2017では両葉ドレナージのほうが優れていた
ドレナージ領域は50%以上確保したほうが良い。
再閉塞時の治療、conversion surgeryの可能性を考慮し、PSまたはuncovered SEMSが推奨される(最近ではPS留置する施設が増えている)。
SISかSBSか?→手技成功率以外は差がない。
(2)切除可能胆管閉塞
1)遠位胆管閉塞の術前
NACの普及により、より長期の開存が求められるようになった。
➡cSEMSを選択する施設が増えている。
2)肝門部閉塞の術前
以前はPTBDによる全肝ドレナージが推奨されてきたが、2019GLでは、第一選択として内視鏡的(経乳頭的)な残肝予定側の片葉ドレナージが推奨されている。GL委員会の投票では大多数がENBDを推奨。
(3)治療抵抗性の良性胆管狭窄
ESGE GLではPS複数本と並んでcSEMSも推奨。日本ではcSEMSは保険適応外。
(4)まとめ
悪性閉塞(切除不能) | 悪性閉塞(切除可能) | 良性閉塞 | |
遠位胆管 | cSEMS PS uSEMS | PS cSEMS | PS cSEMS |
肝門部 | uSEMS PS cSEMS | ENBD/PS | PS |
③総胆管結石症
(1)ESTとEPBD
ESTは治療成功率 86.8~100%、偶発症発生率:3~11.8%
EPBD は、結石再発がESTよりも少ないがERCP後膵炎の合併率が高い
(2)内視鏡治療困難結石
大結石・積み上げ結石にはEPLBDが推奨されている
巨大結石に対する経口胆道下砕石:治療成功率64~98%
(3)術後再建腸管
R-Y再建例のバルーン内視鏡下結石治療
内視鏡到達率:92.6~97%
胆管挿管成功率:58~95.6%
偶発症発生率:7.3~10.3%
④膵/膵周囲液体貯留
内視鏡的ドレナージのみで改善しない感染性被包化壊死には、内視鏡的ネクロセクトミー追加が推奨される。
WONに対する内視鏡的ネクロセクトミーの日本の成績(57例、Yasuda I et al. Endoscopy 2013)では臨床的奏効率75%、偶発症発生率33%、死亡率11%、治療期間中央値21日だった。
Disconnected pancreatic duct syndrome(DPDS)に対する治療
内視鏡的アプローチ➡改善しなければ外科的アプローチ
⑤慢性膵炎に対する内視鏡治療
(1)治療全般
6~8週後に治療効果を判定し、効果不十分であれば外科的治療など考慮。
Jafri M. JOP 2017では16編のstudyのメタ解析で早期疼痛コントロール88%、長期疼痛コントロール67%、偶発症7.85%となっている。
(2)膵石症
ESGEガイドラインで以下推奨。
5mm以上➡ESWL
5mm以下、X線透過性➡EPSTや内視鏡的膵石除去
膵石症に対する内視鏡治療の成績(ESWL併用)は以下。
完全結石消失率:72.6-76%
症状消失率:91.9%
偶発症:9.6%
結石再発:22.2%
ESWL不成功の膵石に対してはESGEのGLでは経口膵管鏡下の砕石術が推奨されているが、日本では薬事未承認。
膵石に対する経口膵管鏡下の電気水圧砕石術の成績(21例の後ろ向き研究)
膵石完全除去率:85.7%
臨床的奏効率:85.7%
偶発症:5.8%
(3)主膵管狭窄
ESGEガイドラインでは1本の10Fr留置➡それで閉塞した場合や6か月ごとに定期交換する➡1年以上経過しても症状を伴う主膵管狭窄が残存する場合は複数本PS留置もしくは外科手術を考慮する。
慢性膵炎に伴う主膵管狭窄に対する内視鏡治療の成績(ESGE2012 GL)
疼痛改善:65-95%
持続的な疼痛改善:52-90%
手術への移行:4-26%
偶発症:6-39%