①体内でのアンモニア解毒機構
二つある。健常人ではこの二つが半々でアンモニアを処理している。
1. 門脈域周囲の肝細胞での尿素回路
2. 骨格筋や脳、肝臓(中心静脈周囲肝細胞)に存在するグルタミン合成
②肝硬変患者でのアンモニア代謝状況
1が低下するので、2が増加する。この際に、アンモニアを取り込むグルタミン酸を α-ケトグルタル 酸から変換する際,BCAA が分岐鎖ケト酸(BCKA)へ 変換されて消費される。このため BCAA 欠乏が起こる。また、肝硬変では BCKA →BCAA への再アミノ化も障害されているので、よりBCAAが欠乏する。
③BCAA投与で血中アンモニア値が下がる機序
骨格筋などにあるグルタミン合成系が働き、グルタミン酸合成からグルタミン合成される過程で、アンモニアが取り込まれるため。
④BCAA投与で血中アンモニア値が上がる機序
アンモニアを取り込んだグルタミンが各臓器へ運ばれ、そこで代謝される際にアンモニアを産生し血中へ放出するため。
⑤バランスの問題
グルタミンをエネルギーとして消費する主な臓器は腸管。腸管で産生されたアン モニアは門脈中に放出され、肝臓内で尿素に代謝され、尿中へ排泄される。また腎臓に運ばれたグルタミンは、分解されてアンモニア を産生するが、このアンモニアは尿中から体外へ排泄される。 これらの体外への排泄能力を上回る窒素量が負荷されると、血中 アンモニアが上昇する。
⑥BCAAの弱点を補うには?
・腸管から血中へのアンモニア吸収を阻害したい→合成二糖類、難吸収性抗菌薬
・血中アンモニアの排出促進→尿素回路の機能を改善する亜鉛製剤、カルニチン