CDK4/6阻害薬

①細胞周期とサイクリン依存性キナーゼ
 正常細胞では,G1からS期へ(restriction point:Rポイント),G2からM期へ,中期―後期への移行において「チェックポイント機構」が負の制御を行っている。チェックポイントの通過には,サイクリン依存性キナーゼ(Cyclin-dependent kinase:CDK)が活性化し,まずサイクリン分子と複合体を形成,さらにそれが活性化する必要がある。例えば,Rポイントの進行にはCDK4やCDK6とサイクリンD1,CDK2とサイクリンEが複合体を形成し,活性化することで細胞周期は進行する。

②癌細胞におけるCDK4/6
がん細胞では,分裂促進シグナルの過剰な活性化やRポイントの異常により,CDK4/6はサイクリンDと複合体を形成,Rb蛋白がリン酸化されてE2Fから遊離,E2Fが活性化しS期進行遺伝子が誘導され細胞周期は開始し,無秩序に増殖していく。

③CDK4/6阻害薬
このCDK4/6を阻害することによってがん細胞の増殖を抑制するのがCDK4/6阻害薬。2017年9月に手術不能又は再発乳癌に対し承認されたパルボシクリブ(商品名イブランス)が日本では初。2018年9月には2剤目としてアベマシクリブ(商品名ベージニオ)が、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌を対象に承認された。

④CDK4/6阻害薬の副作用
臨床試験ではパルポシクリブは白血球の減少による感染症リスクが、アベマシクリブについては下痢、胃炎、軽い吐き気などの消化器症状などが報告されている。

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