低KのPtを担当したので、覚え書き。
①尿中K/Crを評価
尿中K/Cr比は尿中K(mEq/l)、尿中Cr(mg/dl)の場合、K/Cr ×100(mEq/g Cr)で計算される。
この数値が22mEq/gCr以下であれば、Kの腎排泄が抑制されていると判断する。この場合、K摂取量の低下、分布異常、腎外排泄の増加によるものを考える。
尿中K/Cr比が22mEq/gCrより大きければ、Kの腎排泄が亢進していると判断する。この場合、細胞外液、血圧の評価を行う。細胞外液量の増加(浮腫など)、高血圧があればレニン、アルドステロンを評価する。
レニン↑、アルドステロン↑➡腎血管狭窄、レニン分泌腫瘍を考慮
レニン↓、アルドステロン↑ ➡副腎腺腫、副腎過形成、原発性アルドステロン症
レニン↓、アルドステロン↓ ➡クッシング病、Liddle症候群など
②細胞外液量が低下~正常、血圧上昇がない場合、上記診断の可能性が低い場合は代謝性アシドーシスの評価を行う。
非AG開大性代謝性アシドーシス(HCO3低下)が見られれば近位尿細管アシドーシス、遠位尿細管アシドーシスを考慮する。
③HCO3が上昇している場合は、尿中Cl値を評価する。
今回の症例はHCO3-が増加。
尿中Clが低下(<20mEq/l)⇒非再吸収性アニオンの存在、嘔吐による低K血症を考慮する。
尿中Clが上昇(>20mEq/l)⇒ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬の使用、低Mg血症、Bartter症候群、Gitelman症候群を考慮する。
今回の症例は尿中Cl 上昇していた。利尿剤は使用していない。低Mgはあったが補正された。
Bartter症候群…低カリウム血症と代謝性アルカローシスを呈する先天性尿細管機能障害をBartter症候群、これらに加えて低マグネシウム血症、低カルシウム尿症を呈する先天性尿細管機能障害をGitelman症候群という。
⑤TTKGについて
TTKGの定義は書籍参照。低カリウム血症においてTTKG>2であればアルドステロン作用の亢進が疑われる。ただし前提条件として、尿中ナトリウム>25mEq/L、尿浸透圧>血症浸透圧であることがある。2010年に提唱者本人により有用性が否定されてしまった。
⑥なぜ低Mgだと低K?
マグネシウムが不足するとROMK(renal outer medullary K channel)の抑制が効かず、カリウムの排泄が増加するため。