①病理分類、疫学
WHO2010分類でNET G1, NET G2, NECと定義する分類が提唱された。
WHO2017分類で膵NENの悪性度診断が改訂され、NET G3という概念ができた。
高分化でKi-67 labeling index(LI)>20%→NET G3
低分化でKi-67 labeling index(LI)>20%→NEC
WHO2019(消化器領域)ではこの分類がすべての消化器臓器に適応された。
2016年の日本の全国がん登録による膵NENの新規発症数は人口10万人あたり0.7人。希少癌に分類される。さらにNECの発症率は膵NENsの7.5%とさらに少なくなる。
②NECの分類
小細胞NECと大細胞NECに分けられる。膵NECでは大細胞型が小細胞型より2倍程度頻度が高い。小細胞NECのほうが薬物療法での予後は長い。
小細胞肺がんに類似性をもつ→化学療法もSCLCのレジメンを参考にしている。
③手術可能なNECの治療
他施設共同後ろ向き試験であるJapan PANNEN-G3 studyの付随研究として行われた、NET-G3およびNECに対する外科的介入の意義に関する研究では、NET-G3では根治手術でなく減量手術であっても、有意に非手術群より予後がよかったが、NECでは非手術群にくらべ有意な予後の改善はなかった。
術前術後の化学療法については、根拠には乏しいものの、術前および術後化学療法を行うことが世界の潮流となっている。EP療法など。
④切除不能/再発NEC
シスプラチン+エトポシド(EP療法) 奏功割合 36%程度、PFS 5.3か月、OS11か月
シスプラチン+イリノテカン療法(IP療法) 奏功割合 55%程度、PFS 5.1か月、OS11か月
プラチナ製剤に関しては、カルボプラチンも使用される。カルボプラチンはシスプラチンに比べて血液毒性の発生頻度が高いが、神経毒性や腎毒性はシスプラチンのほうが強い。