論文速読2:Endoscopy2022 15-2criteria

Wang Xu et al. Difficult biliary cannulation…Endoscopy 2022; 54: 447–4

<概要>

P:中国西安の病院で2014-2019年に待機的ERCPを受けた患者

E:traineeが介入する処置

C:non-traineeのみでの処置

O:Difficult cannulation


ESGEから提唱された、胆管カニュレーション困難例の定義である、5-5-1 ciriteria(5分より長い、もしくは5回より多いカニュレーション、あと1回より多い意図せぬ膵管造影)はtraineeを含む場合には厳しすぎる。
traineeを含む、または含まない処置を受けた患者さんが適格とされた。
簡単すぎるものや難しすぎるものは除外された。
カニュレーション時間、カニュレーションを試みた回数、そして意図せぬ膵管挿管、このそれぞれの75パーセンタイル以上を超えるものが困難例と定義された。
傾向スコアマッチングを適用した結果、それぞれの群に1596名の患者が含まれることとなった。traineeを含む処置では、traineeを含まない処置に比べて、より長い処置時間中央値(7.5 vs 2分)、より多いトライ回数(5回vs2回)、意図せぬ膵管カニュレーション(0回(0-2)vs0回(0-1))を呈していた(いずれもp<0.001)。traineeを含んだ処置に関しては胆管カニュレーション困難の定義として15-10-2 criteriaが提唱され、traineeを含まない処置に関しては5-1-1criteriaがほぼ良いと考えられた。これらの定義を用いたときの挿管困難の割合はそれぞれ35.5%と31.8%であった。挿管困難例のPEPの頻度は7.8%vs9.8%で同等であった。
結論:75%をカットオフとしたとき、traineeを含む処置に関しては15-10-2criteriaを胆管挿管困難とすることが適当と考えられた。

抄録を読んだだけではよくわからなかったので、introへ。
<Intro>
2016年のESGEガイドラインで5-5-1criteriaが提唱された。traineeを含む処置では不適当。
後ろ向きに検討した。

<Methods>
中国、西安の病院。1300件/年ERCPを行っている。前向きに管理されているデータベースから情報を取得した。5人のtrainer。28人のtrainee。traineeが10分でカニュレーションできなかったら交代した。
primary outcomeは挿管困難例。カニュレーションの時間、回数、意図せぬ膵管挿管がそれぞれのcanulation-related variableの75パーセンタイルを超えたらカニュレーションが困難とみなされた。
secondary outcomeはPEPの頻度、そしてすべての合併症の頻度、そしてadvanced cannulation methodsを要した頻度。
カニュレーションを試みることの定義は、5秒以上乳頭に触れていること。
内視鏡医の判断によって、PEP予防のためのインドメタシン座薬100mg、予防的PDステント、リンゲル液の多量負荷などがなされた。

<Result>
これまで言われている5-5-1criteriaに従うと、traineeの挿管困難率はnon-traineeと比べて61.9%vs31.8%と有意に高かった。non-trainee群でのカニュレーションの時間、回数、意図せぬ膵管挿管の75パーセンタイルはそれぞれ5.2分、4そして1であった。これらの値は、これまで提唱されている5-5-1criteriaとおおよそ一致するものであった。trainee群においては、successful cannulationの75パーセンタイルは15.3分、10回のトライ、そして2回の意図せぬ膵管挿管であった。ここから、我々は、traineeを含む処置における挿管困難の定義を15-10-2とすることを提唱した。このcriteriaをtrainee群に対して用い、non-trainee群に対して5-5-1criteriaを適用した場合、挿管困難率は35.5%と31.8%であった。PEPの頻度(7.8vs9.8%)、全合併症の頻度(10.4vs13.6%)は同等であった。advanced cannulation methodsを要した頻度はtrainee群で高かった(44.6% vs 35.8%)。
criteriaをシンプルにするために、カニュレーションを試みた回数を除外した。なぜならこの因子はカニュレーション時間に有意に関連していたから。そうした5-1 criteriaはnon-trainee群において5-5-1criteriaとPEP頻度やadvanced cannulation methodsを要した頻度において差がなかった。trainee群においても15-2 criteriaは15-10-2 criteriaと同等であった。

<Discussion>
Limitationに挙げられている一つに、待機的なERCPだけを対象としている点がある。

<感想>
抄録を読んだだけではよく意味が分からなかったので全部読まざるを得なかったが、他の人はスッと理解できるのだろうか…。考察の中で著者ら自身が繰り返し述べているように、traineeといっても技量に幅があり、それが今回の15-10-2 criteriaを決めるうえで大きく影響していることは見逃せない。それから、advanced cannulation methodsをいつ使うかの判断が統一されていなければ、これを指標の一つとして用いるのは無理があるのでは…と思ってしまった。それにしても、non-traineeでも挿管困難率は3割もあるのか。もう少し少ない印象があるが…。

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