・定義:二通りあり、広義には、がん患者に生じた血栓症全体を指すもの,もう1つ狭義には進行がん患者において脳血栓塞栓症を合併した病態を指すもの。前者については最近では、がん関連性血栓症(cancer associated thrombosis:CAT)という表現がよく用いられるようになった。
・臨床的特徴…播種性血管内凝固症候群(DIC)の合併,多発梗塞像など。特にDICに併発した非細菌性血栓性心内膜炎(non-bacterial thrombotic endocarditis:NBTE)の病態は代表的臨床像。
ただし,必ずしもNBTEのような心原性脳塞栓症のみならず,深部静脈血栓症(DVT)の遊離血栓が卵円孔を介して脳塞栓を引き起こす奇異性脳塞栓症のほか,血管内凝固による微小血栓,腫瘍塞栓,そして脳静脈・静脈洞血栓症といった病態も存在する。
・評価スコア:現時点ではKhorana VTEリスクスコアによる評価が現実的。
・治療:日本では未分画ヘパリン、ワーファリン、DOAC。留意すべき点として、わが国におけるDOACの適応は静脈血栓症までであり,動脈血栓症に対するDOACの使用は保険適用外である。